会長挨拶

 栃木県日本歯科大学校友会の皆様におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃より会務に関しまして特段のご理解ご協力を賜り誠にありがとうございます。お陰をもちまして、平成25年度の全ての事業を無事遂行できましたことに心より感謝致しております。
 さて、2年後の平成28年をもちまして母校日本歯科大学は、創立110周年を迎えることとなります。現在そこに向けて、大学と校友会で共同の記念事業が進行しつつあります。過去に80・90・100周年とその区切りの時期に同様の事業が行われてきました。式典、祝賀会や記念誌の発行などは、その内容の大半を占める部分でしが、今回はそれに更に目玉として「考証 中原市五郎史伝」の発刊が、創立者伝記編纂委員会主導のもと推進されています。ある時、同委員会構成員である同級生から「中原式咬合器」についての問い合わせを受けました。その時、同咬合器と思われるものが確か3?4個、発見され保存されているとのことでした。その中で、私がもう30年以上も前に、医の博物館に寄贈したものが含まれているとの話でした。友人によると、これらの収集された咬合器に刻印された製品ナンバー等により、特許庁の当時の資料をも調査したそうです。その結果残念なことに、国産咬合器としての特許の第1号にはならず、第2号であったとのことでした。(第1号は、その時の話ですと、当時のことですからごく小規模なおそらく製作を兼ねた商店であったと言っておりました。)
 私がもともと歴史好きで、旧い物に興味があったということが、そもそもの始まりで、わが家の物置きから、父の学生時代のほこりまみれの品々の中から今回話題の咬合器を探しあてました。私の学生時代から中原式咬合器のことは、現在のものと異なり、下顎部が可動する咬合器として、うわさには、聞いておりましたので、発見時には、大変心おどる思いでした。
 当時、私は、新潟歯学部に在職中であったため、早くも医の博物館への持ち込みを考えましたがまずは、関連の専門家のご意見を伺うべく補綴学教授の畑好昭先生のお部屋を訪ねました。即座に先生の興味をひいたのは予想通りということで、ここまでは、特別な話というほどのことではありませんでした。が、その時教授室に同席していた60才ほどの業者の方がおられ本品を見るなり「これは、私のおじいさんが製作、販売したものです」と更におどろきの声をあげた次第でした。結局本品は、医の博物館に行く前に、当の製作者のお孫さん、即ち現在、咬合器の製作会社を受け継いている方のもとに持ち込まれました。そして後日、すべてオーバーホール、再メッキされた新品に近い状態でもどってまいりました。報告によると付属するすべてのものが完全に揃っていましたが、小さなネジが1個だけ足りなかったので補充されたとのことでした。やがて新品同様になった咬合器は、中原泉先生のもと、医の博物館に予定通り納められました。という事で、当時は、この種の咬合器としては、多分この1個のみが保存しましたが、その後の校友会、歯学会、会報の誌上の呼びかけで、現在3?4個が別にみつかったものと思われます。その後のもれ伝わった話によると、中原先生のお話ですと「歴史的な品だから、あまり手を入れないでそのままの旧い形の方が良かったですね」と言われちょっと失敗したなと思いました。よく考えてみれば当然の事ですね・・・。」話をもとにもどしますが、「考証 中原市五郎史伝」については、委員会は、中原先生の郷里 長野県までも、度々足をはこび、新資料の発見と現地での先生の足跡をたどり「歴史的事実の裏付け確証をとってまわられたとのことでした。そして本事業は、早くも多くの成果をもって、数ヶ月以内の上梓の予定がたっているとのことで、大いに期待しつつ、皆様と共に楽しみにしております。
 さて話を「好友会」に戻します。皆様、あれ?「校友会」ではないと思われたことでしょう。実は、今春、ある先生と日歯大に合格された娘さん親子にお会いする機会がありました。私も校友会会長として、学生、教職員と共催の栃木県人会には是非参加していろいろな先生、先輩方との交流を深める様、多少アドバイスをしましたら、ご丁寧な御礼状が届きました。そこで見つけたのが「好友会」でした。なるほど「音」だけ聞くと「好」なのかと到って感心した次第です。私とお父さんとの会話のやりとりの中できっと友人同志で交流している様な雰囲気を感じて自然に出てきたものと思います。
 実際には、校友会とは、縦の関係で成り立っており、常に先輩と後輩の意識の中にある少々堅いイメージが感じられますが、私としては不必要な年代間における垣根は取り除き、好友関係を深めてゆきたいものです。
本会は歴代の会長をはじめとした、多くの先輩方の築かれたものとしての伝統があって、そこをできるだけ損なわないように心がけています。そして、ほんの少しだけ、時代のニーズに応じた部分で、内容の1部変更、又は、新たに加えたりして、発展してゆくものと思います。よって現在進行しつつある事柄については、会員の皆様のご理解とご賛同を頂いた上で成立していることが必須です。ごの様な場合でも常に皆様のご意見を拝聴する用意があります。
 平成26年度も、かわらぬご支援を賜りたくよろしくお願い致します。

 

平成26年7月1日


栃木県日本歯科大学校友会

会長 大川 新

※ 本文関連画像(中原式咬合器)